【メーカー】不明
【推定施工年】1980年代後半から1990年代
【記録した場所】埼玉県所沢市M公園
【記録した人】酉
【種別】コンクリート製〜特殊型〜抽象幾何系、三日月型、日時計、大型
所沢から三芳にかけて、江戸時代元禄期に開拓された農地の地割が現在にも残っている。県の文化財にも指定されているこの地域であるが、関越自動車道のインターチェンジが近いからなのか、近年では多数の企業の物流拠点が増えつつあるように思える。この物件がある公園は、そんな区域の一角を大規模に開発した住宅街にある。
実は、自分はこの公園のすぐ近くにある学校に4年間通っていた事がある。そして卒業から数年後には所沢に移り住み今日に到っている。最初にこの地域を訪れてから相当の年月が経っているのだが、恥ずかしい事に、今の今までこの公園に気付かなかった。
今回この公園に辿り付いたのは、気まぐれで通り道を変えた偶然によるものだった。どうも大人になってしまうと行動パターンが単調になるというか効率が良くなりすぎて、路上観察趣味的にはよろしくないと改めて思った。
おそらく子供の頃であれば、無目的に道という道を探索していたであろうので、この公園もとっくに見つけていただろう。
前置きが非常に長くなったが、当物件に対するコメントを。
コンクリートの築山を丸く削り取り、三日月型に抉られた滑り面にカナリア石研ぎ出し仕上げが施されている。構成は保存番号107番に近いが、中央から衝角のようにそびえる突起の存在が、107番との違いを際立たせると同時に、本物件固有の機能を象徴している。
形状からなんとなく想像がついた方もいるだろうが、実はこの物件、滑り台であると同時に、巨大な日時計でもあるのだ。
その為、本物件の外周には、数字が描かれた金属製のプレートが埋め込まれている。また、滑り面には2本のトンネルが貫通しているのだが、朝側には「太陽」夕方側には「月」を模したデザインが施されており、夜の時間帯にあたる側には「北斗七星」を模した足場が施されているなど、日時計としての存在感を強調している。
施工メーカーは不明だが、こんなものを作るメーカーはあそこしかない気がする。
|