「THE GREATEST HITS」(1/26)
LOVE PSYCHEDELICO 2001
T0P/KINKYO / BACKNUMBERS /


この力の抜け具合がいい。このアルバムは売れに売れ、100万枚はとうに越しているという。収録曲のうち、一番昔に作った曲は3年ものなのだという。それから出来たものからセレクトして出来た珠玉 の11曲。「THE GREATEST HITS」というふざけたタイトルも一理ありである。アルバムの作り方というものも、アーティストによって少しづつ変わってきたということか。なんにせよ、聴く方にとっては良いことではあると思うのだが。

彼等の曲を初めて聴いた昨年、恥ずかしながらこの楽曲スタイルは彼等のネタのひとつかと思っていたのだが、何曲か聴いていくうち、そしてこのアルバム全編を聴いてそうでもないということを知って、少し驚き、しかしこれはいいぞと思った。なにしろ、変な見方をすれば、奥田民生の名曲「リーリーリー(アルバム「股旅」収録)」をずっと聴いているような錯覚にも陥りかねないのである。ま、あれは100%純粋な彼の極上の「ネタ」であるが。

このアルバムの魅力はまた、そうした英語と日本語の境界をぼかし耳触りの良さを追求していながら、決して「洋楽のアルバムを聴いている」という錯覚を起こさせないことである。メロディーラインやコード進行は、ギターを抱いてこのアルバムと向き合ってみると実に心当たりのあるものばかりであり、そこには微かな懐かしさすら感じさせるものである。特にM3の「Last Smile」なんかにそんなものを強く感じる。邦楽としてのアイデンティティは上っ面だけで聴くと薄そうだが、そんなことはない。実際、このアルバムがどんな年齢層に受けているか分からないが、今現在買った層がいわゆるヴォリュームゾーンのティーンエイジャーたちであるならば、もう少し上のレンジの人たち(30代前半くらいまで)に受け入れられる余地も十分にあると思う。それがかなうならば、さらに大きなセールスを残すことも可能だろう。最近のアルバムの中でも特に力の入っている書く曲のアレンジの中には、そういう世代でこそ感じることの出来る要素も数多く入っていると思う。

冒頭にも書いたが、決して力を入れてやっている感じがしない空気が漂っているのがいい。多少イタい歌詞の言い回しがあっても、この歌唱スタイルとこの雰囲気があれば全然問題ない。最近、イタ過ぎる歌詞を大きな声でまき散らしている曲が多くて、正直辟易しているのだがこれは安心して聴ける。ロックが好きな方なら、これを聴いていると、頭の中のデータベースから容易に引き出すことが出来るフレーズやリフが多く登場するかもしれないが、それをパクリだなどというのは無粋であり、ナンセンスだ。っていうか必ずこの論争はどこかで巻き起っているだろうが、そういう人は買わないで聴かないで黙っていて頂きたい。己の音楽の楽しみ方の貧相さをさらけだすだけである。この先どうなるか分からないが、このアルバムを聴いた限りでいえば、僕はかなり気に入っている。


ぶんせきは
KENTARO