「ワールズエンド・スーパーノヴァ」 (2/21)
くるり 2002
T0P/KINKYO / BACKNUMBERS /


くるりの新曲は、うねっている。大きな大きなうねり。聴いている僕は、それにゆるりゆるりと身をまかせるしかない。ヴォーカルの岸田のそのつやのない声はそのうねりに身を任せる為に無くてはならない枕のようなものだ。キャッチーさを備えていながら、それでいて「唄モノ」をあからさまに感じさせない。「TEAM ROCK」で感動した肩の力の抜けっぷりはこのシングルでも健在のようだ。

スーパーノヴァ:超新星を折り込んだタイトル通り、大きな大きなうねりを感じながら、その外側では超高速で光の渦が飛び散って行くようなイメージ。歌詞だけでなく、音そのものに想像力をかきたてられる。「ワンダーフォーゲル」で魅せてくれたドライヴ感は、壮大な浮遊感となって聴くものに襲いかかってくる。全ては、4人となったくるりがさらに装備したその懐の深さに他ならない。

「TEAM ROCK」の時に書いた「夜の部分」と「昼の部分」、この新曲はおそらく曲調だけを聴くと夜の部分のような気がする。それでも聴き込んで行くと、「C'mon C'mon」のような、漆黒の闇を連想させるTypicalな夜とも少しだけ違うような気がする。そう、黒い黒い闇の中から飛び散る音や光や声や、エネルギーが少しずつ、それでもすごいスピードで放射されているような感覚にとらわれるようなグルーヴ。夜のくるりのようでいて、このうねりが「TEAM ROCK」以降のニュータイプの一つなのだろう。

いつまでも このままでいい
それは嘘 間違ってる
重なる夢 重ねる嘘 重なる愛 重なるリズム

懐の深さや余裕は、最近のJ-POPの楽曲に目立ちがちな「せっぱつまった余裕の無さ」を一笑に付して空の彼方まで飛んで行けるような気がする。言葉が多くて主張したいことが多くてでも言葉が足りなくて、まるで早口言葉のように、無理やりにメロディーラインの隙間にリリック・歌詞というお体裁だけのゴミを詰め込んだ、そんなものを垂れ流しにしている曲が本当に多い。そんななかでこのくるりのミドル・チューン。隙間だらけの言葉/歌詞のまわりを音が渦となってぐるぐるとまわっている。その余裕はこの曲にさらなる質感を与えている。グルーヴというのは必ずしもガチャガチャとうるさいものではないのだ。

そしてこの曲を、シングルとしてリリースする、それもくるりの「余裕」のような気がする。アルバムも、頗る楽しみだ。



ぶんせきは
KENTARO